第2回 講演会・懇親会報告

演題:「イノベーションと国際競争力」
副題:なぜ、日本は経済大国になれたのか、そして、これからは?
―21世紀の日本は構造改革と
起業家精神の高揚なくして経済成長なし―
講演者 原 陽一郎氏(32年卒)
長岡大学学長(前東レ経営研究所代表取締役社長)
日時平成17年7月8日 17時より、引き続き19時より懇親会。
場所講演:理工学部57号館 201号室、懇親:51号館3階第二会議室
主催応化会(企画運営:活性化委員会・交流委員会)

趣意: 交流会・講演会・懇親会はフォーラム型の講演会を通じて会員各位のブラッシュアップをはかるとともに、OB、教室及び学生で構成されている応化会会員の相互交流により、産業界異業種間、学生と産業界、先生と産業界のコミュニケーションの拡大を支援し、先輩から後輩への暖かいご箴言、ニューライフ創造へのコミュニケーションおよび同窓の志が気脈を通ずるコミュニテイが形成されることを期待しています。第二回目の交流会・講演会・懇親会は7月8日理工学部キャンパスにて開催されました。ここに報告と写真を添えてお届けします。

案内連絡: 計画決定後、六千名を越える会員への連絡作業を5月初旬から開始。応化会HP及び同期生・同門生・出身企業内仲間への活性化委員による人海戦術型連絡(メール・電話・葉書)に加えて、今回は応化会評議委員(87名)ネットワーク網への連絡の徹底(基盤強化委員担当)、メルマガ連絡2回(広報委員が今回から開発して採用)及び限定層(新28回生〜32回生、関東平野在住、メールアドレス不明不持会員)への葉書通知連絡を実験的に実施しました。

出席状況: 講演会への出席者は前回とほぼ同じでした。一般会員76名(社会人69名、教員7名)、学生30名、特別参加者4名。前回と対比すると、現役社会人および大学院生が若干増えました。因みに社会人最年長は旧32回生、最年少は新46回生でした。今回も通知連絡には苦労しました。  Emailアドレス不明不持の会員への効果的連絡方法の開発は今後の課題とすることにしました。

講演会進行:田嶋交流委員長の司会で進行。冒頭に中川活性化委員長の開会挨拶、同期生である原講師の紹介の段では、原講師の学生時代の人となりを懐かしく振り返っての大変な熱弁となりました。本題講演は原講師の「中川さんから私の学生時代について、何が暴露されるかと大変心配していた」との挨拶からはじまり、平沢教授及び大学院生棚橋さんのスライドショーオペレーションに支援されて、42枚のスライドにより、戦後の日本経済の過去・現在・未来を「イノベーション」の視点から淡々と解説する方式で進み、徐々にトーンが高まっていきました。当初演題は「21世紀のイノベーションと国際協力」―副題:なぜ、日本は経済大国になれたのか、そして、これからは?−でしたが、講演資料を完成して見ると、20世紀のイノベーションについて触れるスライドが圧倒的に多いということで、本番では演題名から21世紀を外されました。

講演概要: ご本人の職歴自己紹介かたがた、東レ経営研究所で取り組んだ調査研究の流れとそのスポンサである日本機械工業連合会及び経済産業省のことに触れるとともに、MITとM.ポータの考察及び東レ経営研究所の調査研究から、1970年代以降、日本製造業の国際競争力が何故強くなれたのか、何故日本が経済大国になれたのか、世間の誤認識と対比して、真相を解説されました。
誤解されてきた日本の製造業とは(1)技術導入とモノ真似、(2)優れた工場従業員が一生懸命に良いものを安く作った(3)終身雇用・年功序列・チームワークにより高い生産性を実現(4)プロセス・イノベーションは良いが、プロダクト・イノベーションは不得手(5)研究開発軽視、独創性嫌悪(6)政府の後押しで輸出に熱心、国内で儲けて赤字で輸出…である。
調査研究による真相はとくに1970年以降(1)激しい企業間競争を前提として長期的で積極的な経営戦略を展開(2)厳しい顧客のいる先進的な市場で鍛えられた(3)マーケット重視、顧客第一の経営姿勢を徹底した(4)新しい技術の獲得に貪欲で高い技術力を蓄積してきた(5)競争力と技術力の強い関連周辺産業が支えた(6)新製品開発の組織能力が高かった(7)特徴のある製品を開発して国際競争力を発揮してきたのであると解説されました。
・・・・・・・・・・ 中略 ・・・・・・・・
イノベーションプロセスはビジョン創りから始める。そのプロセスを原講師は イノベーションの法則(原の法則)として提言された。
1. 画期的なイノベーションは人の夢や問題意識から始まる
2. ビジョンや事業コンセプトがイノベーションに向けての研究開発を誘発する
3. 成功のためには経営資源を集めて再構築するための優れたプラットフォームが必要
4. 製品の世代交代が続くと、大きなイノベーションに発展する
5. 新しい技術は公開されることで、大きなイノベーションに発展する
・・・ 中略 ・・・・・ 
そして最後に、21世紀の日本経済は構造改革と起業家精神の高揚なくして成長なしという課題を強く提起されて、講演を締められました。(講演会詳細内容についてはこちら(PDFダウンロード)を参照下さい)

懇親会: 講演会出席者ほぼ全員が参加。応化会長里見多一さんの「応化会のますますの発展を期す」力強い挨拶と乾杯で始まり、講演会の熱気をそのまま引継ぎ、一献を傾けながらの年代を超えた討論や議論が自由に飛び交い、旧知の仲間のような楽しい雰囲気で盛り上がりました。学生の「21世紀の夢は?」の質問の後、応化会副会長清水教授から「原講師のお話は大変参考になった。特に政府の施策の背景をよく理解できる機会となった。」旨の締めの挨拶があり、岡本交流委員の関東一本締めにて、無事閉会となりました。

配布資料: 後日、社会人・先生・学生にとって大変有益だったとの感想を多く聞くにつけ、社会人・先生・学生が同一テーマに視線を合わせて、お互いに考え、お互いに語ることの良さを満喫できたように思います。参加できなかった方々から配布資料送付の要請があり、郵送しております。詳細をお知りになりたい方はご遠慮なく応化会事務局に資料をお申し込みください。郵送させていただきます。
会員の皆様、次回にも是非お誘いあわせて、ご参加を頂きたいと思います
(文責:交流委員下井将惟)

配布資料請求先: 早稲田応用化学会事務局小泉宗栄
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