早稲田応化会関西支部(早桜会) 2012年度第1回懇話会開催報告

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2012年度早桜会第1回懇話会を6月23日(土)15:00〜17:30大阪中央電気倶楽部で開催しました。今回の講師は、大阪大学大学院基礎工学研究科教授の岡野泰則氏(83年卒)で、"学問としての化学工学"と題して講演いただきました。

講師は卒業以来、大学教員として研究と教育に携わってこられてました。最初に、これまでの多彩な経歴について紹介されました。まずは、かつての留学先のカナダ、ビクトリアでの生活紹介から始まり、続いて、大阪大学および基礎工学研究科の構成、設立理念などについて紹介いただきました。次に、化学工学の成り立ちの歴史、定義について、中でも講師が専門に取り扱っている移動現象論の成り立ちの背景や、いかに実用に役立つか、機械工学分野との違いなどについて詳細説明がありました。講師は卒業以来、流体運動を記述する微分方程式の数値解析をして、ミクロからマクロの世界までの統一理論を確立することをライフワークとして、研究されてきました。そして、終章では大学の組織や、財政の実態について、分かり易く説明いただきました。

講師は3年前に静岡から大阪に移動されましたが、前任の大学では工学部という立場で、多くの企業と極めて現場に近い共同研究をしてきたこと、大阪では基礎工学研究科という立場で、基礎的かつ学問的な研究にシフトされたことなどに触れられました。その後、早稲田の学生時代から現在まで継続している微小重力環境を用いた半導体材料の作製に関し、研究を始めたきっかけや、当時のエピソードについて、懐かしい当時のビデオ等を用いて熱く紹介されました。特に、微小重力環境下で顕著となるマランゴニ対流は、講師のかつての指導教員であった平田彰教授が抽出操作等の化学工学の単位操作内で注目した現象です。それが30年以上の時を経た現在でも全く別の分野でも重要性を認識されており、これこそが単に製品が出来れば良いといったものとは異なる、学問としての化学工学である旨を強調されました。この7月には、長年待った国際宇宙ステーション内での実験が、いよいよ実施される予定で、その成果を大いに期待して、待ち遠しく感じられました。 紹介された実験の数々が、動画や綺麗な図面で紹介され、とても理解し易く、面白い結果で興味の尽きないものでした。


懇話会

最後の1時間は"大学"と言う一般社会からでは、一見判りにくい組織の説明、複数の大学を経験された講師ならではの、大学による現代学生気質の違い、昨今の大学の抱えている数々の問題点などを、具体例を挙げられながら、ユーモアたっぷりに紹介いただきました。とても信じ難いモンスター(学生、親)とのバトルの紹介は、参加者全員驚きをもって、拝聴しました。参加者からの質問も多くあり、とても、時間が短く感じた、面白い講演でありました。

懇話会終了後は、居酒屋に席を移して、更に質疑応答の継続から、他愛の無い話題まで、酒を飲みながら、和やかに、楽しい時間を過ごしました。

 
二次会風景

当日の参加者
津田 實(57)、井上征四郎(62)、岩本皓夫(67修)、市橋 宏(67)、田中航次(67)、 辻 秀興(67)、井上昭夫(67)、篠崎匡巳(80)、齋藤幸一(83)、岡野泰則(83)、 脇田克也(86)、古川直樹(86)、中野哲也(87)、澤村健一(03)、

(井上 記)

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