同門会便り

高研会第52回総会開催報告

 2009年 高研会総会 は1月10日(土)に 恒例のアルカディア市谷(私学会館)にて開催され、雨模様にもかかわらず80名近いご参加をいただきました。
 中曽根 荘三 名誉会長の新年挨拶のあと、山元 公寿教授(慶応大学)の日本化学会学術賞受賞の紹介、西出 宏之教授(早稲田大学)の高分子学会会長任期満了の紹介とお二人への記念品贈呈がありました。

西出 宏之 教授より研究室活動状況と新学位取得者が紹介されました。
また、岡野 光夫教授(東京女子医大)、大野 弘行教授(農工大)、小宮 強介氏(旭化成ケミカルズ)、篠原 浩美さん(メルク)より会員近況報告がありました。


新年を迎えて 
                            
高研会会長  山瀬 幸雄

みなさま 新年おめでとうございます。
苦境の年といわれている2009年をなんとか乗り越えて 新しい未来に向け共に進んで行きましょう。

 昨年はいろいろなことがありましたが、第一には篠原功先生が1月26日にお亡くなりになられたことでした。
追悼文は高研会のWebページおよび応化会報11月号に 土田先生、岡野先生、西出先生、中曽根名誉会長と並んで 掲載させていただきました。一昨年のこの会に出席いただき、ユーモアのこもったお話をいただいたのがついこの間のことのように思われます。 慎んでご冥福をお祈りする次第です。

 さて、昨年の上半期は各業界とも極めて好調という景気のよい話で進みました。
特に 電池は太陽電池を含めてトピックスの多くを占めておりました。また、加速度センサーを載せたゲーム機が登場して、テレビゲームの新しい遊び方が進んだのもこのころでした。携帯電話、FPD(フラットパネル・ディスプレイ)のような電子機器の消費は 米国、日本、西ヨーロッパより BRICs、VISTA、EEMEAにおいて大きく成長すると予想されております。 これらの生産はEMS、ODMといった技術・物流系を持っている 中国・台湾のメーカーに委ねられているのが実情です。
 好況感に陰りが見え始めたのは 7月末で 、大型液晶パネルも供給過剰との報道が8月にされました。米国サブプライムローンのつけがついに破綻したのが9月15日でした。このあとは、大手電機会社業績の下方修正予測が相次ぎ、12月にはいってからは大規模な人員削減が打ち出されるところまで でてきました。

 こうしたなか、我々そしてお集まりの学生のみなさんには何を目指して進めばよいのか。 それは ヨーゼフ・アロイス・シュンペーターのイノベーションの原理についてです。彼は企業家による5項目の結合が経済成長の起動に必要だと言っていますが、そのうちの第一項「新しい生産物または生産物の新しい品質の創出と実現」 が我々に科せられた課題であろうと考えております。

 本日は 昨年度 日本化学会学術賞を受賞されました慶応大 山元公寿先生にご来臨賜っておりますが、先生のご提唱されている立体的な空間を考えた分子設計、機能発現は まさにイノベーションの定義にふさわしいものと考えております。既成の考えを打ち破り、新しい価値を創り出すのは 今 この苦境のなかからなのです。
ともに がんばりましょう



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