「実践的化学知」(Practical Chemical Wisdom)とは社会・人間に関わる課題について俯瞰的な問題意識を起点に、実用を強く指向した複合化学である「メソ化学」を推進する英知・知力を意味する。本拠点は、それら「英知」の構築と化学系研究者の「知力」養成を目的としています。21COE「実践的ナノ化学教育研究拠点」の実績を踏まえ、ナノ構造体をボトムアップで創製できる実力を土台と位置づけ、環境に優しく人間生活に貢献する革新的材料開発を指向したメソ化学を拠点の指導原理として、実践的な研究の展開および国際連携を通した世界水準の人材育成を図ります。活力溢れ魅力ある共同研究・産学連携をグローバルに展開し、その研究ダイナミズムのなかに人材育成プログラムを組み込み、若手研究者の能力をスパイラルアップさせます。
「メソ化学」は、ナノスケール化学を超えるメソスケール複合化学の実践です。メソスケールでの物質描像に基づく次元・階層・時空間を意識した材料設計と創出を、若手研究者参画のもと強力に展開します。化学の隣接分野を取り込みながらメソ化学の学問領域を開拓し、技術革新を誘発し社会に貢献する化学・材料科学分野の世界拠点の一つになることを目的とします。
平成14年度から文部科学省において開始された「21世紀COEプログラム」の基本的な考え方を継承し、大学院の教育研究機能を一層充実・強化することを目的とする平成19年度より開始された事業です。COEとはCenter Of Excellence(卓越した拠点)の略で、世界最高水準の研究基盤の下で世界をリードする創造的な人材育成を図るため、国際的に卓越した教育研究拠点の形成を重点的に支援し、国際競争力のある大学づくりを推進します。
「21世紀COEプログラム」では、全国から274の拠点が選択されましたが、「グローバルCOE」では150拠点程度まで採択が絞られるため、より一層の重点策がとられます。なお、早稲田大学の応用化学を中核とするグループが申請した「化学・材料科学」の分野では、国公私立計45件の申請に対してわずか13件の採択でした。(私立大学では早稲田大学1件のみ採択)