第1回(2005年度)給付奨学生

2005年9月25日推薦委員会の推薦に基づき、2005年10月6日の応用化学科教室会議にて審議の結果、以下の3名の給付奨学生が決定しました。
三上 貴司 君
(平沢研 M1)
メッセージ
小幡 洋輔 君
(武岡研 M2)
メッセージ
小松 寛  君
(酒井・小堀研 M2)
メッセージ
第一回応化会奨学生選考にあたって
早稲田応用化学会会長 推薦委員 里見 多一
2004年より開始された、応化会募金活動もお陰様で予想を上回る出捐を頂き、この度、第一回奨学生3名が誕生致しました。
 予め教室サイドから厳選された、将来を期待される優秀な博士前期課程在籍者の中からの選考であり、推薦委員一堂、何れも甲乙付け難く、書類と面接による選抜は大変難航致しました。
 最終的には趣意書に則り、当初予定の2名から1名増員と言う形で選考委員会を終え、教室会議に推薦させて頂きました。  奨学生に対しては、思う存分に勉学研究に没頭して頂く事はもとより、人間的にもより大きな心を育まれん事を祈念して已みません。

 募金活動は当初目標を超える勢いではありますが、ご理解頂いた会員諸氏は未だ会員の10%に程遠く、これからも引き続き奨学事業の対するPRとご協力をお願しなくてはなりません。 奨学生のプロフィールや研究活動成果をHP等の場でご紹介させて頂き、多くの会員の皆さんに奨学制度の意義にご賛同して頂ける様、今後共取り組みさせて頂く所存です。 一層のご支援、ご協力をお願い申し上げます。
(平成17年11月吉日)

第一回応化会奨学生選考経過について
早稲田応用化学会 活性化委員会・募金委員会 委員長 推薦委員 河村 宏
いよいよ応化会奨学金の給付が始まりました。本来奨学金は年度の初めに決定して当年度の学費に補填されるのが通例ですが、今回は、制度の初年度で、スタートの遅れがあった関係で、後付けの形の選考、給付となりました。応募者5名の中から3名を推薦しましたが、予め提示された資料に基づき面談は、厳しい質疑応答となりました。
 選考に当っては、基準を何処に置くべきかを十分に議論の上、投票、その結果に付いて各委員の視点を論じ合い、最終決定となりました。趣旨に沿った優秀な学生が推薦できたと確信しております。

2003年度の統計によれば、早稲田大学理工学研究科の修士課程の学生数は、2165名でしたが、この内奨学金の授与を受けている学生は、約半分の1081名です。
日本育英会の貸付制度の利用者がその大半の870名で、給付奨学金の受益者は、212名に過ぎません。国立大学との授業料格差を埋めたいとして発足した応化会奨学金の趣旨からこの実態を検証すると、理工学研究科修士課程の学生の10%にしか補填されていない事になります。また我々の奨学金制度は、修士課程の学生のうち博士課程に進学する学生を条件にしていますが、その率は約15%です。上記10%の補填を少しでも上げたい理由が此処にあります。我々の手で一人でも多くの苦学生に手を差し伸べて、応化でこのことが達成され、その運動が全学に波及していけば夢は実現されるかもしれません。
今後機会を見て選抜された学生を皆さんにご紹介し、またその学生達には機を見て応化会活動に参加して貰うことを企画しています。

どうか熱い思いでこの運動支えていただき、温かい眼で学生達の将来を見つめて欲しいと思います。(平成17年12月9日記)

推薦委員からのメッセージ

順調なスタートを切った応化会給付奨学金制度
早稲田応用化学会 活性化委員会・基盤強化委員会 委員長 推薦委員 柳澤 亘
本年2月15日付の日刊工業新聞に「大学の学科単位の卒業生ボランティアによる奨学金支援制度は珍しく、注目される」と書かれた早稲田応用化学会給付奨学金制度は応化会にとって前代未聞の快挙ではないでしょうか。
多くの会員のご賛同をいただき、募金も初年度目標をクリアし、このたび第1回の給付学生も決まり、順調なスタートを切ることができ嬉しく思います。募金活動に携わった多くの方々のここいたるまでのご尽力に心より敬意を表します。

 さて、今回、私は給付学生選考のための推薦委員に委嘱されましたが、最近の学生さんのことがよくわかりませんので、選考会の数ヶ月前から彼らに直接会って話を聴く機会をできるだけ多く持つようにいたしました。給付候補学生との面接の際にも同じですが、特に学費、生活費などの支出とその負担者について、無礼にならぬ程度ぎりぎりのことまで聴かせていただき、おおむね実体がわかりました。そして当初私が考えていた以上に、このような奨学資金が彼らへの大きな支援になることがよく理解できました。

これからも会員の皆様の暖かいご理解をいただき、いつまでもこの制度が続くことを願っております。
(平成17年12月9日)

応化給付奨学金選考にあたって
マイクロハード(株)会長 応用化学会募金委員会委員 推薦委員 大矢 騏一郎
どう云うわけか、私に応化会奨学金の推薦委員のお鉢が回ってきました。私の学生時代は、奨学金の対象になるような優秀な学生ではありませんでしたし、奨学金というからには学術的に期待できるテーマを持っている人を選ばねばいけないのであろうと勝手に想像して、そんなことをするためには相当勉強しなければわからないだろうと、気が重かったのですが、委員長の河村さんにけしかけられたことと、もともと若い人たちと話をするのは好きなほうなので、まあ何とかなるだろうと引き受けたしだいです。

9月のはじめに、5人の学生たちからの申請書や研究テーマが上がってきて、予想通りわからないこともたくさんあったので、インターネットをフル活用して何とか理解しようと努め、その上で面接の当日に臨みました。
巷の評判では、最近の早稲田はいろいろな意味で慶応に押されているような感じで、いったいどんな学生が来るのだろう、われわれの時代とどう違うのだろうと興味深々だったのですが、彼らの研究テーマを聞くだけでなく、ほかの委員の方たちと普段の生活や家庭の状況、読んでいる本まで聞いてゆくうちに、結果的に推薦された3人だけでなく、5人とも全部、「うーんこれはなかなかの連中だわい」、と思わせられたのが、正直な感想であります。
ともすると、「最近の若いモンは」と否定的な気持ちで若者たちを見る機会や傾向が多いのですが、今回面接した5人の「若者」は、さすが早稲田、いやわれわれの時代よりもしかするとさらに進化したレベルの早稲田を作れる可能性を持っているのでは、と思わせてくれました。もっとも、人間は年をとるともに妥協や怠慢を繰り返した結果、若いときの光が消えてゆくものですが、今回の5人の中から一人でも光が消えない人を期待したいと思います。その意味からも、来年また光り輝く何人かに会えるのが楽しみになってきました。年をとっても光の消えない人間が、きっと早稲田にはいるでしょう。
(平成17年12月9日)

応化会奨学金について
日立ハイテクノロジー(株)常務 応用化学会募金委員会委員 推薦委員 大林 秀仁
この奨学金のユニークさについては、諸先輩が説明されているのでこれをご参照い ただきたい。「集まり散じて人は変われど」という校歌のように応用化学の先輩が 現役に気持ちを伝える一つの具体例である。 河村さんに引っ張り出されて奨学金に応募した皆さんのインタビューに参加させて 頂いた。

どの応募者の研究内容ともそれぞれ特長があり「選ぶ」ことの難しさを改めて実感 した。私は修士・博士課程の研究はまだまだ荒削りでもいいと考えており、個々の 研究内容・波及効果よりは、研究に対してどのような個性的アプローチをしている かという点に重心を置いて話を伺った。選ばれた方にはこのお金を有効に使って頂 き、将来の飛躍につなげて頂きたいとお願いしたい。
この奨学金がさらに広い応化会員諸兄のご賛同により、所期の目的を達成すること を心から期待したい。
(平成17年12月13日)

応化給付奨学金選考にあたって
早稲田大学理工学部 応用化学科教授 推薦委員 平沢 泉
今回の奨学生の選考は、学内奨学金の手当てが少ない修士学生で、 博士後期過程に進学する学生を対象にし、また、原資が応化卒業生 からの浄財とのことで、審査する推薦委員も、ほとんどが社会人で構成した。
このような審査は、始めての試みでどうなるかと心配したが、さすが、 面接に慣れておられる方が多く、学内では、出ないような、巧みな質問で、 学生の研究への取り組み、意欲、また経済的困窮度をうまく引き出していた。
投票の結果は、審査委員間で、大きくわれることがなく、比較的スムーズに 候補者を決定できた。候補になった学生諸君は、大変な感謝をしていた。また、  今後、この恩を忘れず、応用化学科、専攻ならびに応用化学会の活動に寄与する ことを力強く述べていた。 ある意味、本当に困窮している学生への奨学金が、人 数、 額ともに増加してくれることを期待するとともに、卒業生の本奨学金へのさらなる ご 理解をお願いする。
(平成17年11月29日)