2014年10月18日、第6回フォーラム「企業が求める人材像」を開催しました。
今年で6回目になった「企業が求める人材像」は、企業でまたご家庭と仕事を両立させてご活躍中のOB、OGの皆さんをお招きし、菅原義之応用化学科教授をモデレータとしてパネル討論を行うフォーラムです。今回は、「企業におけるキャリアアップ」と題し、現在の企業の実際を先輩の皆様が経験された様々なキャリアの観点から語っていただくことを目的として企画されました。
応化会柴田交流委員会委員長による本フォーラム開催の経緯と目的の説明に続き、応化会下井副会長から挨拶があり、パネル討論が開始されました。応用化学科44名、さらに教授、OB、OG 21名の皆様に参集頂き進められたフォーラムでは、各パネリストから体験に基づく意見や貴重なアドバイスが提示され、示唆に富む興味深い内容となりました。
フォーラム終了後は、56号館理工カフェテリアに場所を移し、井上(凱)委員司会のもと、三浦会長の開宴挨拶、松方主任教授ご挨拶、乾杯の後、軽食をとりつつ、パネリストを囲んでさらになごやかにかつ熱心に歓談が進みました。そして桐村教授による閉宴の挨拶に続き、学生交流会山岸委員長の一本締めでお開きとなりました。
溝口徳実氏 持田製薬(株)
1983年応用化学科卒業(土田研)、持田製薬株式会社入社、薬事室に配属、医薬品等の申請業務を担当。その後医薬開発部、薬事部、法務部、企業倫理推進室、薬事室と転属され医薬品開発業務、薬事規制業務、研究倫理委員会・治験倫理審査委員会事務局、企業倫理やコンプライアンス推進業務・情報セキュリティ体制強化、薬事規制業務を経験。現在は信頼性保証室で、薬事規制業務を継続。楢原英夫氏 住友化学(株)
1990年理工学研究科応用化学専攻修了(豊倉研)、住友化学(株)入社、大分工場配属、新製品導入、既存プロセス合理化担当。その後工業化技術研究所、工業化技術研究所、生産技術室でケミカルプロセス開発、新規石油化学プロセス、また工場の安定操業、新規事業担当も経験され現在は、工業化技術研究所、千葉プロセスグループ、グループマネージャーとして新規石油化学プロセス開発に従事。遠藤文子氏 東燃ゼネラル石油(株)
2002年理工学研究科応用化学専攻修了(菊地・松方研)、東燃ゼネラル石油(株)入社、川崎工場製油技術部製油技術課配属。その後システム技術課、供給本部供給計画部を経験後、2009年ExxonMobil Asia Pacific Pte.Ltd,SingaporeでManufacturing Coordinator、Process Section Supervisorを経験後、東燃ゼネラル石油 和歌山工場技術部生産管理課長、和歌山工場製油部ビジネスチームリーダーを歴任。現在EMGマーケッティング合同会社潤滑油本部潤滑油企画調整部長。
木場介氏 産業革新機構
2005年理工学研究科ナノ理工学専攻修了(黒田研)、豊田通商(株)入社、化学品・合樹部に配属、 その後トヨタ自動車(株)第二材料技術部出向、豊田通商(株)帰任 電材・機能材部で新規事業の立ち上げを経験、電子材料/合樹事業開発部(二部の兼任)では機能性素材のグローバル展開、ベンチャー投資、JV設立交渉も経験。一方2010年には東京農工大学大学院生物システム応用科学府で博士(工学)号も取得。2012年豊田通商(株)退職の後、株式会社産業革新機構入社、現在戦略投資グループヴァイスプレジデント。野澤あい氏 三菱レイヨン(株)
2008年理工学研究科応用化学専攻修了(木野・桐村研)、三菱レイヨン(株)入社、横浜研究所バイオケミカルス研究グループ配属。本社 研究開発統括部を経験。2010年バイオデバイス研究グループに異動現在に至る<モデレータのプロフィール>
菅原義之教授
1988年理工学研究科博士後期課程修了(工学博士)(加藤・黒田研)、早稲田大学助手、MIT博士研究員、早稲田大学専任講師、早稲田大学助教授、早稲田大学理工学部教授。その間フランスモンペリエ大学訪問研究員、フランスモンペリエ大学招聘教授を歴任。
先ずパネリストよりキャリアアップの意味や捉え方の説明がありました。その後アイスブレークとして自己紹介を兼ねて、入社動機、異動の経緯、入社前と現状の差異等について紹介されました。
次に理系のくくりでのジェネラリスト、スペシャリストのキャリアパスや入社後のジョブローテーションの実例やご自身の経験例を紹介頂きました。またそれぞれの仕事やキャリアを積む上での問題発見能力や開発能力の重要性をパネリストが経験した実例とともに紹介されました。その他キャリアアップに必要なスキルとして、プレゼン能力、英語力、またグローバルに活躍する為には宗教や日本の歴史に関しても知識として必要であることが経験とともに紹介されました。またコミュニケーション能力は不可欠で、社内外でのネットワークを構築し、活用していく重要性も指摘されました。この観点からも社会に出てからも応化会活動に参加し、研究室のOB会に出席する有用性にも言及されました。またキャリアアップの為には、入社後も会社が用意するカフェテリア制度等もありますが自己啓発や勉強を続ける必要性、すなわち学生期間だけでなく一生勉強を続けることの必要性が指摘されました。
更に現在は、女性の働きやすさを大手企業は配慮しており、女性管理職比率や目標値が設定されている様子も紹介されました。産休、育休制度も格段に整備されてきており、女性が働きやすい環境は整えられて来ている様子が紹介されました。その他関連して介護休暇や男性の育休制度の充実も紹介されました。
討論を締めくくる最後としてパネリストより「キャリアアップを達成する為の心構え」についてアドバイスを頂きました。具体的には、失敗を恐れないでやってみる、チャンスを逃さない、将来の自分を想像することやゴールのイメージを持つ、アンテナを張る、何でも興味を持つ、ネットワークを広げる等について経験を踏まえた分かりやすいお話を紹介頂きました。
フォーラムの運営についてアンケートでは、開催時間は80%が適当であり、講演内容は89%が参考になったと回答頂きました。パネリストの構成に関しても94%が適当であると回答頂きました。また今後取り上げて欲しいテーマとしては、リーダーシップ、ターニングポイント、研究開発、グローバル化、キャリアアップ等が挙げられました。今回特に印象に残こった点、良かった点としては、「ジェネラリストとスペシャリストの説明」、「英語の必要性」、「女性の活躍の話が聞けて良かった」、「様々な年代、分野でのキャリアの異なった経験者の話が参考になった」、「企業に実際就職したときの具体的な話が参考になった」、「キャリアアップの具体的内容」、「学生のうちにやっておくこと(プレゼン、文章作成、宗教、歴史)」等の回答を頂きました。また改善すべき点としては、「会場が寒かった」、「一方通行な議論、各スパン後の質問タイムが必要」、「まだ先のことで実感できない」、「海外経験者の話が聞きたかった」、「スペシャリストの具体的な話を聞きたかった」、「学生が少ない、授業でのPRが必要」、「パワーポイントをもっと活用するとよい」等の意見も頂き、今後の参考にしたいと思います。
ご尽力いただいたパネリストの皆様方、フォーラムを協賛し運営に協力頂いた応用化学科学生交流委員の皆様にはあらためて厚く御礼を申し上げます。
以上
(文責、交流委員会)フォーラム及び懇親会のスナップ写真は→こちら
「フォーラム「企業が求める人材像」(2013)の開催報告は→こちら
「フォーラム「企業が求める人材像」(2012)の開催報告は→こちら
「フォーラム「企業が求める人材像」(2011)の開催報告は→こちら
「フォーラム「企業が求める人材像」(2010)の開催報告は→こちら
「フォーラム「企業が求める人材像」(2009)の開催報告は→こちら