逢坂哲彌先生は、「界面電気化学の確立による高密度記録用小型磁気ヘッドの開発」の業績に対し、平成20年度文部科学大臣表彰・科学技術賞(開発部門)を受賞されました。本賞は 我が国の社会経済、国民生活の発展向上等に寄与し、実際に利用されている画期的な研究開発・発明の実施者に授与される賞であります。先生は電気化学を基盤に常に社会のニーズを踏まえた研究を幅広く展開してこられましたが、今回は、特に次世代型の軟磁性材料の開発には適用困難と国内外の関連機関からみなされていた電気化学プロセスを用い、当時世界最高の飽和磁束密度を有し、かつ優れた特性を備えたCoNiFe軟磁性薄膜を創製するともに、これを産業界に技術移転し、従来型の10分の1の超小型サイズにも関わらず2倍以上の能力を示す磁気ヘッドを実現したことが高く評価されたものです。この磁気ヘッドは当時サーバ用高性能ハードディスクにおける全世界の2割以上のシェアを占めるなど、磁気記録装置全体の性能の向上を大きく牽引しました。
また、このご受賞を記念して、5月31日(土)にWECS(吉田・逢坂・本間研究室同窓会)主催によるお祝い会がフォーシーズンズホテル椿山荘東京にて開催されました。当日は研究室在籍学生も含め200余名が参加し、白井克彦総長、韓国電気化学会Keon Kim先生からご祝辞を頂くとともに、竜田邦明先生のご発声で乾杯し、一同先生のご受賞をお祝い致しました。先生のご受賞は、教室教員をはじめ、同窓生の方々にも大きな朗報、また励みとなるものであります。心よりお祝い申し上げます。
(応化教授 本間 敬之)