講師に東レ株式会社ACM技術部部長小田切信之氏を迎え、演題「化学の力が生み出した炭素繊維複合材料の現在社会への貢献」を講演頂きました。
炭素繊維複合材(CFRP)を主用部位に採用した新型旅客機ボーイング787(以下B787)は、 ANAが昨年11月より国内線に就航させ、更に、今年4月JALの国際線にも就航しました B787は準国産品と言われるように、主翼や胴部等をはじめとした機体の主要部品の多くを、日本企業の東レと重工3社(三菱、川崎、富士)により、開発され製造されております。 中部地域には、これら企業の主力工場があり、航空機産業に少なからず関わっている会員や、日本の先端技術の粋を集めたB787に深い関心を持つ会員が居られることに鑑み、小田切氏に、今年初めの母校での講演に引き続き中部支部での講演をお願いいたしました。若手現役会員を含めた21名の会員が参加され、後藤支部長の開講挨拶に続いて講演に入りました。
講演する小田切氏 | 受講する参加者一同 |
小田切氏は、入社以来ほとんどをCFRPの研究開発から製造に携わって来られたが故に、講演は判り易く説得力のある内容で、多くの障壁を乗り越えた小田切氏を含むチームと東レ経営陣の長年の努力と執念がひしひしと伝わってくる講演でした。
講演内容は、東レの事業概要、炭素繊維の世界での供給とシェアー、東レの世界生産拠点、炭素繊維の構造と物性、製造プロセス、民間航空機への活用の推移、航空機1次構造材への採用ブレークスルーのメカニズム、B777とB787及びA380機の採用部位、胴体及び主翼の自動成形機と成形現場、B787のサプライチエェーン、東レの低コスト部材成形およびCFRPの将来展望と大変広範囲におよぶものでありました。
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最後に小田切氏は、先の母校講演で学生や現役OB会員へ強くアピールしたというメッセージで講演を終えられた。正鵠を得たメッセージで、参加会員の心に深く刻まれるものでした。
近藤副支部長の音頭で乾杯を行い懇談に入った。小田切氏の周りには人垣が途切れる事がなく各会員の質問が後を絶たなかった様子であった。
小田切氏にはリラックスして頂く暇もなく申し訳なかったが、それほどに会員が深い興味を持っていたことの証であり、大変有意義な交流講演会であった。
最後に、小田切氏の篠原研究室と東レでの先輩である三島幹事よりお礼の挨拶があり懇談会を終えた。会旗をバックに全員の記念写真を撮り散会した。