第8回中部支部総会と交流会の報告書
2015年4月4日(土)「北京料理百楽名古屋店」にて、第8回総会と交流会を開催した。
交流会の話題プレゼンターには東邦液化ガス株式会社名古屋支店長加藤啓氏にお願いし、関西支部よりは若手会員の數田昭典氏と澤村健一氏両氏に参加して頂いた。参加者は総勢19名であった。
第8回支部総会
任期満了に伴い退任する後藤支部長からお礼と今後の期待についての挨拶を頂き議事に入った。
山崎新副支部長より、以下の役員人事の報告があり出席者の了承を得た。
後藤栄三氏支部長退任顧問就任、三島邦男氏支部長就任、山崎隆史氏副支部長兼事務局長
就任、笠倉忠夫氏顧問退任、西川通則氏理事退任、高岡康裕氏理事就任および藤井司氏
理事就任。
堤幹事より2014年の行事参加者数、会員動向把握結果の報告、経費実績及び2015年度
活動計画と予算案が上程され出席者の了承を得た。
又、今年度より出来るだけ現役若手会員が参加し易いように、交流講演会を交流会と改称
し、土曜の夕刻開催へ変更等気軽に情報交換できる場への改善を目指して行くことを確認
した。
交流会:加藤啓氏による「エネルギーよもやま話〜シェールガス田見聞録〜」
創立90年を迎えた東邦ガス(株)と55年を迎えた東邦液化ガス(株)のビデオを用いた会社紹介の後、天然ガスの現状と、訪問された米国テキサス州のダラス/フォートワースのシェールガス田の詳細について、写真とイラストを用いてわかり易く説明頂いた。
シェールガスの米国における現状を良く理解できるプレゼンであり、以下に大変印象深くインパク
トを受けた内容を挙げる。
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@ガスの価格では、米国ガス価格(HH)と在来型天然ガスである英国ガス価格(NBP)との差はシェールガス革命以降、約8$/MMBTUほど安価になっている事。日本のLNG輸入価格と比較しても、液化費用+LNG船輸送費用の7〜8$/MMBTUを上乗せしても、6$/MMBTU程も安く見込まれており、現在米国がLNG輸出の為の4つの大型プロジェクを進めている経済的理由である。
- A在来型天然ガスの埋蔵量約65年分に比し、シェールガスを主体にした否在来型天然ガスの埋蔵量は約103年分と大幅に伸びたこと。又、前者の埋蔵層の深さは地下5,000mと深いが、シェールガス層は2~3,000mと地表に近く井戸掘削の費用や期間が安くて短いこと。
- B既に米国ではシェールガスの生産が、総天然ガス生産量の5割を占めるまでに増えていること。4つのサイトでの開発プロジェクトには、日本の大手商社3社、大手ガス会社2社および電力会社も資本参加し、年間LNG1,700万t規模を輸入する計画で、2017年末〜2018頃の開始を目指して進められている。
- C訪問サイトの写真の中で、特にシェールガス田のフラッキング材(頁岩層の水圧破砕に使う薬剤)を輸送する超大型ローリーが、ハイウエーを5分おきに連なって走っている光景には、ガスラッシュに沸いているフォートワースの活況が想像された。
- D訪問したクイックシルバー社のガス田の光景は、広々とした緑の牧場地帯に、井戸掘削用の高さ10m程度のリグがポツンと建っているのみで、テキサスの油田風景に慣らされた者にとっては思いも及ばない美しい田園風景であった。
- E井戸の掘削方法と掘り出されたガスの処理について詳細な写真で説明がなされたが、極めて簡単な掘削と精製プロセスを経て一般のガスとして使用されていることに驚かされた。即ち、リグを設置し垂直に2,000m掘り下げ、そこから水平に1,000m掘削、鉄パイプを挿入し水平部は小さな穴の空いた鉄パイプで、火薬を爆発させながら頁岩層に微細な割れ目を生じせしめ、フラッキング材を含む高圧水で割れ目を固定する。こうして1週間程度で放置すればガスが湧き出てくるそうである。得られたガスは集められ、精製ユニットで砂と水をトラップした後、コンプレッサーで昇圧して既存のガスラインに供給される。地上部における井戸と井戸の間隔は4.5mで、1本の井戸は10〜15日程度の短期間で完成出来るそうである。
- F長年の原油高の経済下で、井戸掘削のハードとソフト技術および特殊なフラッキング剤(特殊ポリマー/企業ノウハウ)の開発に成功し、採掘の経済性が得られたことがシェールガス革命の基因であること。
- Gシェールガス開発で日本企業が巨額な損失を蒙った例や、昨今の原油安に伴う米国大手シェールガス会社2社の事業破綻例が紹介され、依然開発には高いリスクが伴うこととシェールガス事業は、原油価格が50〜60$/bbl以上にないと競争力が失われる事の実証例を挙げられた。
最後に東邦ガス(株)は、新たに2017年より北米からLNGを調達し、調達の安定性向上を図る計画を進めている事を紹介され話を終えられた。
終了後、会員より、シェールガスのマテリアルとしての評価は?フラッキング材の中身は?頁岩からガスが湧出するのは何故?ガスの精製処理の程度は?大手石油メジャーの取り組みや中国資本の参入有無は?等々多くの活発な質問が出され、参加者にとって興味深く大変有意義なプレゼンテーションでした。
懇親会
新任の三島支部長の挨拶と乾杯の音頭で懇親会に入った。
薄暮の名古屋城を窓越しに見ながら懇談が盛り上がった。數田氏と澤村氏の両関西支部代表、新任の大高理事と藤井理事及び浜松より遠路参加頂いた金原幹事にスピーチを頂き、フィナーレは山崎新副支部長の「1本締め」で会を終えた。
参加者(敬称略)
(講 師)加藤啓(新38回)、
(中部支部会員)牧野兼久(新8回)、近藤昌浩(新9回)、三島邦男(新17回)、堤正之(新17回)、白川浩(新18回)、後藤栄三(新19回)、小林俊夫(新19回)、谷口至(新22回)、友野博美(新22回)、山崎隆史(新25回)、名塚達雄(新26回)、服部雅幸(新32回)、金原和秀(新32回)、上宮成之(新35回)、藤井司(新36回)、大高康裕(新41回)、
(関西支部会員)、數田昭典(新51回)、澤村健一(新53回)
(堤 記)
スナップ写真
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