2009年7月11日(土)14;00〜16;00にかけて、大阪の堂島にある中央電気倶楽部で本年度関西支部第1回懇話会が開催されました。
講師は津田 實('57卒)氏で"中国貿易40年―よもやま話"と題して熱弁を揮われました。
氏は1960年に蝶理に入社され、中国で文革盛んな1968年に初めて中国に渡航以来、ほぼ毎年、中国に出張して、化学品の調達、プラント輸出業務を担当して25年。その後ミヤコシ社、KITANO社へ入社し、会社は変わったが、中国との貿易業務を継続担当して中国と多面的にかかわり通算40年というキャリア。
1949年の中華人民共和国建国以来の中国現代史について、分り易く、解説されました。
初渡航時は商談の前に毛語録の勉強をさせられたりしたが、1970年代(毛沢東)当時、中国は飢餓輸出の時代で商売は比較的楽にできた。しかし、反面内地のメーカからいろいろ文句をつけられ苦労もした。
1980年代(ケ小平)に入ると自力更生の時代になり、積極的な生産設備、技術輸入を図ることになる。氏はナイロン66(タイヤコード設備)、ラジカセ製造設備、イオン交膜法カセイソーダ設備など手がけた。当時はまだソ連式の製造方法がのさばり、ものつくりは非効率で未熟であった。また、香港、マカオ、シンガポール華僑が優遇された時代である。
1990年代(江沢民)になると台湾、韓国、日本からの外資導入が盛んとなり、浦東開発が発表になり、各種レベルの経済開発区が続々出現した。日本の中小企業も多数進出したが、結果は成功しているもの、失敗に終わったものいろいろである。2000年代(胡錦濤)にはり、WTOに加盟し、欧米諸国からの投資が本格化し、高度経済成長が成し遂げられた。
1978年のケ小平による改革解放後、中国共産党はイデオロギーから経済重視に変身した。国有企業の体質改善や土地を中心とした国有財産の開放(市場化、私有化)は党と政府役人によって進められた。その結果、急激な経済発展と共に、お金持ち(富豪や中産階級)が続出。これらのお金持ちには共産党幹部の子弟や、情報を入手できる立場にいた関係者が圧倒的に多い。これらの人々はなんらかの形で一党独裁の恩恵を受けており、いまや党の強力な支持層となっている。 次の2010年代(習近平、李克強)の新指導部は自由、平等、人権といった概念を単なる概念としてだけでなく、生活実感として体得している世代である。民主法治、公正正義、誠実友愛、安定秩序、自然調和など、革命や武力闘争とは無縁の理想社会(和諧社会)をめざすことになろう。天安門事件、ソ連の解体、東欧の民主化を反面教師とし、北京オリンピックで自信を深め、中国共産党はマルクスレーニン主義を党是とする政党から実質的に伝統文化を大きなよりどころとする政党に変わろうとしていると思われる。今後の施政に注目される。このしたたかな中国とわれわれはいかに付き合うか重要な課題である。
中国の複雑怪奇な歴史を簡明に解き明かしてくれ、大変参考となる講演でありました。 終了後、質疑応答が活発におこなわれましたが、時間がたらず、場所を移し、居酒屋でビールを飲みながらの更なるホットな議論で、楽しく勉強になった半日となりました。
当日の参加者
津田 實(57)、井上征四郎(62)、堀川義晃(62)、市橋 宏(67)、
田中航次(67)、辻 秀興(67)、篠崎匡巳(80)、和田昭英(84)、
脇田克也(86)、中野哲也(87)の10名