第3回早桜会(早稲田応化会関西支部)講演会&懇親会報告

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 2011年9月17日(土)、JR大阪駅近くの大阪弥生会館にて早稲田大学栄誉フェロー竜田邦明先生(早稲田大学名誉教授)をお招きして、平成23年度の早桜会講演会を開催しました。当日の参加者は35名で、卒業年度1957年から2009年まで広い世代の会員が参加し、さらには中部支部からの参加もあり、関西支部が正式に発足して以来、最も盛況かつ大変和やかな雰囲気の講演会となりました。また、参加者の半数以上が平成年度以降の卒業会員となったこともあり、若さ一杯の講演会となりました。


栄誉フェロー竜田邦明先生

今回の演題である「101の天然生理活性物質の全合成-知の創出」では、結晶構造の分析からだけでは知りえない、真に生理活性を示す構造部位に着目しながら、最小単位の原料から化学合成された世界初となる天然生理活性物質の全合成(94種)や、その中でも糖質を原料に用いた天然物の全合成(60種)について、さらにはその研究の過程で先生ご自身が独自に見いだされた新規な有機合成反応について、エピソードを交えながらわかりやすくご紹介していただきました。

また、講演冒頭では平成21年6月天皇皇后両陛下の御前で本学理工系では初となる日本学士院賞を受賞された際のエピソードをお聴きしたり、ノーベル賞の推薦書を回覧していただいたり等、大変貴重な体験もすることができました。

講演会風景


講演前半では、先生が開発された抗菌薬、制ガン剤、抗糖尿病薬、酵素阻害薬、神経作用物質等、数々の医薬品の創製、工業的な合成方法に対して、研究のSTEPに沿ってお話をして頂きました。具体的には、@全合成を前提として、光学活性体であるグルコース、グルコサミン等の糖質を不斉炭素源とした天然生理活性物質の立体特異的合成法を開拓し、4大抗生物質群(Aminoglycoside系、β-Lactam系、Macrolide系、Tetracycline系)を含む多様な天然生理活性物質を全合成するまでの過程、A合成物質に対する構造確定と共に、構造−活性相関研究を行いながら、最小単位の活性部位を特定していく過程、B特定した活性部位をコアに、分子デザインを行い、数々の医薬品の創製を行う過程という研究の流れに沿ってご紹介して頂きました。

また、講演後半では福沢諭吉先生の「学問のすゝめ」、大隈重信先生の「早稲田大学教旨」を手本にして、先生が学ばれた哲学を、工業社会から知識社会へと変化していく時代の中で、私達がどのように研究や仕事に取り組んでいかなければならないのかを「知識を知恵に」と題されて熱く語っていただきました。「世界を意識して仕事をする」、「仕事は必ず完成する」、「綺麗な仕事ではなく美しい仕事をする」等数々の叱咤激励の言葉を頂き、講演は約一時間半でしたが、あっという間に過ぎてしまいました。改めまして参加者一同、竜田先生に感謝いたします。


集合写真

講演会終了後は、第2部として会場を移して、竜田先生を囲んでの懇親会となりました。岡野理事の司会のもと、井上会長の挨拶と乾杯の音頭で始まり、しばらくはアルコールを飲み、歓談しました。その後、司会の指名で竜田研究室OB、指名された数名のスピーチ、新たに理事に就任された澤村さんの挨拶等で会場は盛り上がりました。竜田先生を囲んでの楽しい談笑の輪が会場に幾つもできていました。懇親会は中野理事のエールで幕を閉じ大変有意義な一日となりました。



懇親会風景


(脇田克也 記)

(当日の参加者)
津田實(昭32卒)、井上征四郎(昭37卒)、岩本皓夫(昭42院卒)、市橋宏(昭42卒)、井上昭夫(昭42卒)、田中航次(昭42卒)、辻秀興(昭42卒)、中島正臣(昭42卒)、 木内一壽(昭49卒)、篠崎匡巳(昭55卒)、岡野泰則(昭58卒)、斎藤幸一(昭58卒)、和田昭英(昭59卒)、上宮成之(昭60卒)、齋藤広美(昭60)、脇田克也(昭61卒)、 中野哲也(昭62卒)、藤原淳(平2卒)、柘植知彦(平3卒)、西村賢(平3卒)、濱田健一(平6卒)、重元亮二(平7)、高島圭介(平10卒)、犬飼隆之(平11卒)、小倉尚(平12卒)、星野正大(平12卒)、澤村健一(平15卒)、古山文穂(平17卒)、吉原秀輔(平17卒)、天野結城(平18卒)、加藤真裕(平18卒)、福田知広(平18卒)、渡辺綾(平18卒)、守屋享祐(平19卒)、片岡泰裕(平21卒)

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