早桜会第19回懇話会(H26年度第3回)の開催報告

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早桜会第19回懇話会(2014年度第3回)を2月28日(土)15:00〜17:00大阪中央電気倶楽部で開催しました。今回の講師は、三井化学株式会社の中野哲也氏(新37豊倉研)で「防災から減災へ・・・QRAの概要について」と題して実際に災害が発生した際に被害を最小限にとどめる「減災」に関するQRA(定量的リスク評価手法)についてその概要と具体的な事例を、入社以来26年間ケミカルエンジニアとして化学工場の第一線で活躍した経験をベースに紹介されました。

化学プラントにおける建設・増改造工事を行う際、安全指標の一つとしてこれまではHAZOP STUDY(Hazard and Operability Studies )が実施されてきました。 HAZOP STUDYは温度・圧力などのプロセスパラメータとNo、More、Lessといったガイドワードとの関係から、機器・配管に対する危険減を抽出し、必要に応じて対策を行います。これは予期せぬ危険と使いやすさを検討する手法でどちらかというと「防災」を目的としたものでした。

それに対し、東日本大震災や昨今の化学プラントでの災害を考慮しQRA(Quantitative Risk Assessment)という安全指標が最近注目を集め始めています。海外にプラントを建設する際には、事前にQRAを実施することが義務付けられるなど、今後は危険評価の主流となっていく可能性が高いと思われます。基本的に事故の発災を防ぐことが目的であるHAZOP STUDYに対して、QRAは実際に事故が発災した際の災害規模を想定し、そこからどうやってRisk(人的被害)の影響を抑えることができるかを検討するもので「減災」を目的としています。

このRisk(人的被害、年間死者数)は災害影響度(Consequence)と災害発生頻度(Probability)の積で表されます。 人的被害の評価指標としては、損傷モデルを「漏洩」と「破壊」に分け、損傷ケースとして「1/4インチ以下」「1インチ以下」「4インチ以下」「破裂」の4種類とし各々の組み合わせから三つの項目、@爆風圧、A輻射熱、B毒性値で評価します。

検討結果は、@コンター図(被害想定の等高線図のようなもの)とAFN(Frequency vs Number of Fatalities)曲線(年間死者数想定曲線)として得られ、結果次第で人的被害を抑え込む対策が必要と判断します。

日本の化学工場は、大半が建設から半世紀を超え老朽化が進んでいます。今後は新設プラントに限らず、既存のプラントに対してもQRAは浸透していくのではないかと考えており、若手エンジニアの皆さんは、HAZOP STUDYとともにQRAについても学んで欲しいと講演を結ばれました。

講師はどのようにして身につけられたのかとても巧みでユーモアのある会話術を駆使して講演され、思わず話しに引き込まれました。講演中も講演後も活発な質疑があり理解が深まりました。

講演会の様子

懇話会終了後は、いつものように居酒屋に席を移して、しばし様々な話題を肴に盛り上がりました。


懇親会風景

以上

出席者
津田實(新7回)、井上征四郎(新12回)、前田泰昭(新14回)、吉崎洋之(新15回)、市橋宏(新17回)、井上昭夫(新17回)、田中航次(新17回)、和田 昭英(新34)、中野哲也(新37回)、西峯健一(新47回)、島圭介(新48回)、數田昭典(新51回)、澤村健一(新53回)、陳鴻(新59回)

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