早稲田応用化学会関西支部(早桜会)第7回講演会報告

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早桜会第7回講演会を10月24日(土)、中央電気倶楽部(大阪・堂島浜)で開催しました。

今回の講師は、早稲田大学名誉教授の豊倉賢先生で、豊倉研出身の会員が関西はもとより遠方からも多数駆けつけました。

豊倉先生は傘寿を超えられた今でもお元気に活躍しておられ、卒業生としては嬉しい限りです。このたびの早桜会からの講演依頼に対してもご快諾いただき、大阪までいらしてくださいました。ご講演内容につきましては、先生のご専門である晶析工学に取り組むようになった経緯、アメリカ留学時代のエピソード、国際会議のことなどまさに晶析工学の歴史そのものをつい先日のことのように詳細にお話しいただき、聴講者一同熱心に拝聴致しました。

特にアメリカTVA留学時代の思い出として、当時肥料(塩化アンモニウム)の結晶は最大1mm程度でしたが、過飽和度を制御して成長させればもっと大きな結晶ができると考え、わずか一晩で5mm程度の結晶を作って周囲の人を驚かせたという話は痛快でした。

先生が渡米された1966年は1ドル360円の固定レート時代であり、海外留学は経済的にも大変な時代であったと思います。そんな中、蒸留などと異なり晶析は設計できないといった常識を覆し、晶析の設計法(Design method of crystallization)を論文発表し、高い評価を得ました。

私の研究室時代、先生はいつも「あなたのオリジナリティーはどの部分ですか?」と繰り返し問われました。教授対学生という感覚ではなく、研究者対研究者という意識で常に討議させていただいた経験は、社会に出てから仕事を進める上で豊倉研究室OBのみなさんの支えになっていると思います。講演の最後は、晶析の将来についてコメントしていただき、盛会のうちに幕を閉じました。

講演会の様子と集合写真

引き続き行われた懇親会では、奥様そしてお嬢様ご夫妻も参加され、先生が持参された昔の写真を拝見しながら、みなさん数十年前にタイムスリップしたような気持になりました。豊倉研出身者からは全員コメントをいただき、奥様が殆どの卒業生を記憶されていたのには驚かされました。

最後は、総会時にしか行わない校歌斉唱を佐久間様の見事なリードで3番まで歌い上げ、盛会の内にお開きとなりました。


懇親会風景

中野哲也 記

講演会出席者(25名)
豊倉賢(新7回)、井上征四郎(新12回)、前田泰昭(新14回)、市橋宏(新17回)、井上昭夫(新17回)、田中航次(新17回)、柿野滋(新19回)、福田雅充(新20回)、山添勝巳(新22回)、岡野泰則(新33回)、斎藤幸一(新33回)、武内正治(新34回)、和田昭英(新34回)、榎本康宏(新35回)、佐久間雄一郎(新35回)、古川直樹(新36回)、脇田克也(新36回)、中野哲也(新37回)、麻植淳(新38回)、石谷春奈(新39回)、八木秀之(新42回)、島圭介(新48回)、數田昭典(新51回)、澤村健一(新53回)、吉原秀輔(新55回)

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