12月19日に、学生向け講演会を実施いたしました。
この学生向け講演は、学生委員が主体となって、学生会員に本学科が標榜する「役立つ化学、役立てる化学」を、企業の方からお話をいただいて身近に感じてもらえるよう企画したものです。
その記念すべき第一回となった今回は、サントリーホールディングスの方々にお越しいただきました。はじめにサントリーHDの紹介をしていただいた後に、サントリービール(株)の山寺順哉さん、サントリービジネスエキスパート(株)の上新原十和さんのお二方にご講演いただきました。
山寺 順哉さん「ザ・プレミアムモルツを支える化学技術」
2008年早稲田大学応用化学科修士卒の山寺さんには、ザ・プレミアムモルツの開発、改良に必要な化学技術についてご講演いただきました。ザ・プレミアムモルツには、華やかな香りと、深いコクとうまみを引き出すため、素材と製法へのこだわりがあるそうで、ビールの原料である麦芽とホップの成分の取り出し方や、投入するタイミングなどを、化学の計算で導き出した結果から教えていただきました。麦芽には特にこだわりがあり、普通の麦芽とダイヤモンド麦芽を実際に触ったり、食べてみたりという体験もさせていただきました。ホップも実際に口にしたのですが、非常に苦味が強かったのが印象的でした。
偏に麦芽やホップを使っているといっても、その固体によって成分が異なり、そのばらつきを抑えるために粉体工学というものを使ったり、香りを最大限に引き出すためにホップの入れるタイミングを物理化学の知識を使って導き出したりするなど、ビールの製造に化学が多く使われているということを学びました。
上新原 十和さん「分析化学の出会いから」
上新原さんには、サントリーが取り組んでいるPETボトルのリサイクルについて、安全性の評価を中心とした日本初の技術などを分析化学の観点からお話しいただきました。上新原さんのお仕事は、品質保証のための分析で、グレーゾーンな部分を化学的根拠に基づいてはっきりさせるということでした。大学では生命系を先行していたものの、入社してからは高分子化学、電気化学、生物化学など様々な分野の勉強をされたそうです。
また、女性である上新原さんには、仕事とプライベートの両立についてのお話をしていただきました。女子学生にとってはとてもためになるお話でした。
お二方のお話から、化学が世の中でどのように役に立っているのかを学ばせていただき、学生にとっては今後の将来の展望の手助けになったと思います。
講演会の後には懇親会が開かれ、学生・OB・OGの間で親交を深めました。そして最後は現学生委員会委員長政本浩幸の一本締めで閉幕となり、非常に密度の濃い一日となりました。
ご講演いただいたお二方、ご協力いただいたサントリーホールディングス株式会社の方々、ありがとうございました。
文責 : 応用化学科3年 石原真由